こんにちは。港区芝「赤羽橋駅」より徒歩3分にある菊竹歯科医院です。
インビザライン矯正をする際、アタッチメントという白い小さな突起物を歯の表面に装着することがあります。歯に似た色のプラスチックで作られたものであるため通常は目立ちませんが、何のために必要なのか、取れてしまわないかと不安になることもあるでしょう。
小さなアタッチメントは、インビザライン矯正において非常に重要な役割をもっています。
今回は、アタッチメントの種類や役割、装着する際の注意点や外れてしまった際の対処法について解説します。
インビザラインのアタッチメントとは?
アタッチメントとは、インビザライン矯正の際に用いる白いプラスチック(コンポジットレジン)でできた白い突起物のことを指します。アタッチメントを歯に直接つけて、その上にマウスピースを装着します。
アタッチメントがあることで、マウスピースが歯にしっかり固定されるようになります。歯に圧力がかりやすくなり、歯がスムーズに動くようになるのです。
同じインビザライン矯正であっても、患者さまの歯の状態やご希望によってどのように歯を動かすかは異なります。アタッチメントの数や形状、設置する場所などは、患者さまによってさまざまです。
アタッチメントは歯の表面に直接つけるため、舌で触ると多少違和感がありますが、マウスピースで覆うため普段は気になりません。歯磨きの際に食べかすが残らないように丁寧に磨きましょう。
アタッチメントの種類
アタッチメントは、症例に合わせて以下の種類から選択されます。
通常アタッチメント
担当の歯科医師が、必要に応じて作成するアタッチメントを通常アタッチメントといいます。形状は長方形、傾斜付長方形、楕円形があります。
形状によって加える力が変わるので、患者さまにあうものを歯科医師が選択します。
最適アタッチメント
通常アタッチメントとは異なり、アライン・テクノロジー社が作製するアタッチメントを最適アタッチメントといいます。最適アタッチメントは症例に合わせて選択しますが、使用頻度の高い最適アタッチメントは以下の通りです。
オープンバイト用最適アタッチメント
オープンバイトとは、開咬(かいこう)のことです。奥歯をしっかり噛み合わせた状態の時に、前歯部分に隙間ができて噛み合わない不正咬合を指します。
前歯にアタッチメントを装着することで、歯茎に埋まっている部分を引き出します。
ディープバイト用最適アタッチメント
ディープバイトとは、過蓋咬合(かがいこうごう)とも呼ばれる不正咬合です。噛み合わせが深すぎることで、上の前歯が下の前歯を隠して見えなくなる状態です。見た目が悪いだけではなく、噛み合わせが悪いためしっかり噛めません。
ディープバイト用最適アタッチメントは、歯茎に埋まった状態の歯を出す、上の歯を歯茎の中にいれるように働きかけます。
ルートコントロール用最適アタッチメント
歯の根っこ部分が傾いていたりすきっ歯になっている場合には、ルートコントロール用最適アタッチメントが使われます。主に前歯に装着され、根元から歯を動かします。
回転用最適アタッチメント
回転用最適アタッチメントは、
犬歯や小臼歯に使われることが多いです。
アンカレッジ用最適アタッチメント
アンカレッジ用最適アタッチメントは、抜歯を行う治療で使われます。抜歯によって生じた隙間を詰めるために使用します。
アンカレッジ用最適アタッチメントによって、重度の出っ歯や受け口、叢生もインビザライン矯正で治療できるようになりました。歯の移動距離が多い治療で用いられます。
アタッチメントの付け方
マウスピースの着脱は患者さま自身が行いますが、アタッチメントの着脱は歯科医師が行います。
まず、歯の表面を清掃して汚れをしっかり落とします。その後、アタッチメントを接着しやすいようにエッチング剤で磨き、水で洗い流して乾燥させて接着剤を塗ります。
アタッチメントの形のマウスピースにコンポジットレジンを流して、光照射によって硬化させます。マウスピースを外した後で、バリを削り取って完成です。
アタッチメントを付ける期間
アタッチメントは、治療開始から終了までつける方が多いです。インビザラインの治療期間は、部分矯正の場合は半年~1年、全体矯正の場合は1年半~3年ほどです。この期間、アタッチメントを装着し続けるということです。
インビザライン矯正に限らず、矯正治療後は歯の位置を安定させるための保定期間を設けますが、保定期間中はアタッチメントは必要ありません。アタッチメントは歯の移動を助けるためのものなので、歯の移動が完了すれば外します。
アタッチメントを付けたあとの注意点
アタッチメントは、インビザライン矯正を成功させるための欠かせない要素の一つです。アタッチメントを装着している間は、以下の点に注意しましょう。
口腔ケアを徹底する
アタッチメントがなくても同様ですが、インビザライン矯正中は口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。特に、アタッチメント周辺はプラークが溜まりやすいため、歯磨きを丁寧に行いましょう。
1日に少なくとも2回、朝晩の歯磨きを徹底してください。可能であれば3食後も歯磨きしましょう。歯磨きが難しい場合は、うがいをするだけでもある程度の汚れを落とせます。
デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシも使用して、歯と歯の間やアタッチメントの周辺の清掃も忘れずに行いましょう。
着色しやすい飲食物を控える
コーヒーや紅茶や緑茶、ワイン、カレーなどの着色しやすい飲食物は、できる限り控えるようにしましょう。アタッチメントは白いですが、飲食物の色が移ると目立つようになるでしょう。
糖分が入っていない水を飲む時以外は、飲食時にマウスピースを外します。
しかし、アタッチメントは歯に接着されているので患者さまが取り外すことはできません。飲食物の色素で着色することがあるので、濃い色の飲食物は避けたほうが良いでしょう。
破損するリスクを避ける
アタッチメントに過度の力が加わると、破損するリスクがあります。硬い食べ物は直接噛み砕くのではなく、小さく切って食べるようにしましょう。
また、スポーツを行う際にも注意してください。ボールが顔に当たる、人と接触するなど、強い衝撃を受けるとマウスピースやアタッチメントが破損する可能性があります。
アタッチメント装着中はホワイトニングを受けない
インビザラインに限らず、マウスピース矯正中でもホワイトニングしてもよい場合が多いです。
しかし、ホワイトニングは天然歯のみ白くします。
アタッチメントは人工物なので、ホワイトニングでは白くなりません。歯とアタッチメントの色が変わり、目立つようになるかもしれません。
また、アタッチメントが接着されている部分には薬剤が浸透しません。アタッチメントを外した際に、アタッチメント部分が漂白されておらず色むらが生じるでしょう。
そのため、ホワイトニングは矯正治療開始前、または終了後に検討したほうがいいといえます。
アタッチメントが取れたときの対処法
アタッチメントが取れた時は、できる限り早めに歯科医院を受診してください。マウスピース矯正であれば、問題なく治療を続けられると思う方もいるでしょう。
しかし、アタッチメントを装着していることを前提に治療計画が立てられているので、外れたまま放置すると計画どおりに歯が動かなくなるでしょう。インビザライン矯正の通院は2~3ヶ月に1回なので、通院予定日が遠い場合でも早めに受診しましょう。
また、インビザライン矯正を受けている歯科医院に相談してください。インビザライン矯正を取り扱っている歯科医院でも、別の歯科医院で治療を受けている方のアタッチメントの装着はできません。
アタッチメント再装着の費用は歯科医院によって異なりますが、片顎で1万~1万5,000円が相場です。治療前に治療にかかる料金をすべて一括で支払うトータルフィーの場合は、改めて支払いが必要ないこともあります。
まとめ
アタッチメントは、インビザライン矯正をスムーズに進めるために欠かせないものです。通常アタッチメントや最適アタッチメントなど、さまざまな種類があります。
外れた場合は必ず歯科医師に相談しましょう。アタッチメントがついていることを前提に治療計画が立てられているので、外れたままマウスピースを装着していても計画どおりに歯が移動しません。