こんにちは。港区芝「赤羽橋駅」より徒歩3分にある菊竹歯科医院です。
インビザライン矯正は、透明なマウスピースを使って歯並びを整える方法です。インビザライン矯正では、歯を動かすためのスペースを作るディスキング(IPR)と呼ばれる処置を行うことがあります。
IPRは、歯の表面のエナメル質をやすりで少し削る処置です。「矯正治療で歯を削る必要はあるのか」「健康な歯を削ることに抵抗がある」と感じる方もいるでしょう。
この記事では、インビザライン矯正で歯を削る理由と、それに伴うメリットやデメリットについて詳しく解説します。インビザライン矯正を検討しているが、歯を削ることに対して抵抗があり悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
インビザライン治療ではどうやって歯を動かす?
矯正治療では、歯根を覆っている歯根膜の働きを利用して歯を動かします。マウスピースにより歯に力が加えられると、歯が動く方向の歯根膜は縮み、反対側の歯根膜は引き伸ばされます。
歯根膜には一定の厚さを保とうとする性質があります。そのため、縮んで厚くなった歯根膜を元の厚さに戻すために破骨細胞が出現します。これにより、歯が動く側の骨が溶かされ吸収されます。
一方で、歯根膜が引き伸ばされた側の歯根膜には骨芽細胞が現れ、新しい骨が作られます。骨が吸収・形成されることによって、歯根膜は元の厚さに戻ります。これが繰り返されることで、少しずつ歯が移動するのです。どのような矯正治療でも、歯が移動する仕組みは同じです。
インビザライン矯正では、歯並びの情報をスキャナーで収集・分析し、歯並びが整うまでの治療計画を作成します。そして、計画をもとにマウスピースを作製します。
マウスピースは、元の歯並びとわずかにズレが生じるように設計されています。わずかに形の異なるマウスピースを1~2週間ごとに交換することで、徐々に歯を正しい位置へ動かします。
1枚のマウスピースで、約0.2〜 0.25 mm歯が動きます。一般的に、インビザラインでは40~60枚程度のマウスピースを使用することが多いでしょう。
インビザラインで歯を削る理由
インビザライン矯正では、マウスピースを使用して歯を少しずつ動かします。なぜ歯を削る必要があるのでしょうか。
以下では、インビザライン矯正で歯を削る理由について、それぞれ解説します。
歯を動かすスペースを確保するため
インビザライン矯正では、歯を動かすスペースを確保するために歯を削ることがあります。
歯並びが悪くなる原因の多くは、歯が生えるスペースが不足していることです。このような場合に歯をきれいに並べるには、まずは歯を動かすためのスペースを確保する必要があるのです。
歯を大きく動かす必要がある場合は、抜歯を選択することもあります。スペース不足がわずかであれば、IPRによって歯を削ることで抜歯をせずにスペースを確保できます。
歯の大きさや形を整えるため
インビザライン矯正では、歯の大きさや形を整えるために歯を削ることがあります。例えば、前歯が周囲の歯よりも大きかったり左右非対称だったりすると、歯並びを整えても美しい見た目にならないことがあります。
このような場合は、IPRによって歯の形や大きさを調整し、全体的なバランスを整えて美しい仕上がりを目指します。
ブラックトライアングルを改善するため
ブラックトライアングルを目立たなくするために、歯を削ることもあります。
矯正治療で歯を動かすと、歯と歯の間に三角形の隙間が生じることがあります。これをブラックトライアングルと呼びます。ブラックトライアングルができると、歯が長く見えるなど、歯並びを整えても美しい仕上がりにならないことがあります。
本来、歯は根本に向かって細くなっています。歯の側面を削って四角に近づけて、スペースを埋めるように歯を動かすことで、ブラックトライアングルを改善できます。
インビザラインで歯を削るのは必須?
インビザライン治療では、必ずしもIPRで歯を削るわけではありません。歯を並べるスペースが十分にある場合や、すきっ歯などでもとから隙間がある場合は歯を削る必要はありません。
また、歯を削るだけでは歯が動くための十分なスペースが確保できない場合も、IPRは選択されません。そのような場合は、抜歯でスペースを確保します。
インビザラインで歯を削るメリット・デメリット
インビザライン矯正で歯を削るメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。
インビザラインで歯を削るメリット
インビザライン矯正で歯を削るメリットは、以下の4つが挙げられます。
- 抜歯を避けられる
- より美しい歯並びになる
- 後戻りが起きにくい
それぞれ詳しく解説します。
抜歯を避けられる
矯正治療で歯を動かすためのスペースが不足している場合は、抜歯が必要になることがあります。矯正治療では、健康な歯を抜くことも多いです。
抜歯でなければ歯を動かすためのスペースを確保できないケースもありますが、歯を削ることでスペースを確保できれば、健康な歯の抜歯を回避できます。
より美しい歯並びになる
歯が動くためのスペースを十分に確保せずに矯正を行うと、足りないスペースに歯を無理に並べることになります。歯が押し合って、前や後ろに押し出されて歯並びが整わないこともあるでしょう。
歯を削ればきれいに並ぶためのスペースを確保できるため、美しい歯並びを実現することができます。歯の大きさ・形の調整や、歯の全体的なバランス調整もできるので、より美しい仕上がりを目指せるでしょう。
後戻りが起きにくい
矯正治療で歯を動かした後は、歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが起こることがあります。歯は接触し合うことで互いの位置を安定させていますが、根元に向かって細くなっているため、完全に密着しているわけではありません。
歯を削ることで、歯の形が長方形に近くなります。その際に生じたスペースを埋めるように歯を動かすことで、歯と歯がしっかり密着し治療後の後戻りが起きにくくなるのです。
治療後には保定装置(リテーナー)を装着する必要がありますが、歯を削っておくことで後戻りを効果的に防止できます。
インビザラインで歯を削るデメリット
インビザライン矯正で歯を削るデメリットは、以下の2つです。
- 健康な歯を削る必要がある
- 確保できるスペースに限界がある
それぞれ詳しく解説します。
健康な歯を削る必要がある
インビザライン矯正で歯を削る一番のデメリットは、健康な歯を削ることでしょう。
しかし、IPRで削るのは、歯の表面にあるエナメル質のごくわずかな量です。そのため、痛みを感じることはなく、歯の寿命が短くなる心配もありません。
それでも健康な歯を削ることに抵抗がある方は、ご自身の場合は歯を削る必要があるかどうか、事前に歯科医師に確認してみましょう。
確保できるスペースに限界がある
IPRで削れる歯の量は最大0.25mmです。歯の両側面を削れば、1本あたり0.5mmのスペースを確保できます。
ただし、全体的にIPRを行った場合でも5mm程度しか歯を動かすスペースを確保できません。確保できるスペースには限界があるのです。
歯並びや顎の大きさによっては、歯を削るだけではスペースを確保できない場合があります。その際は抜歯をする必要があります。
抜歯の場合は、1本で7~8mm程度のスペースを確保できます。左右の歯を抜歯すれば14~16mmのスペースを確保できるのです。
歯の削り方とは
歯列矯正で歯の側面を削る処置をディスキング(IPR)といい、インビザラインでよく行われています。歯を削ると聞くと、虫歯治療のように歯を大きく削ることを想像するかもしれません。
しかし、IPRで削るのは歯の表面にあるエナメル質のみです。エナメル質は通常2〜3mm程度の厚さですが、IPRで削るのは片面で最大0.25mmです。
歯を削る際は、歯と歯の間に合うやすりのような専用器具を使用します。エナメル質には神経がないため、削っても基本的には痛みを感じることはありません。そのため、処置の際に麻酔も不要です。
スペースの確保が目的の場合は、矯正治療を開始する前や、開始後の早い段階でIPRが行われます。また、矯正治療の終盤に仕上がりを向上させるために削る場合もあります。
IPRは目的によって行うタイミングが異なるため、最初の治療計画では予定していなかった場合でもIPRをすることがあります。
まとめ
IPRで歯を削ることによって、抜歯をしなくても矯正治療が可能になる場合があります。歯を動かすためのスペースが十分に確保されていれば、IPRで歯を削る必要はありません。また、IPRで歯のバランスを整えると、矯正治療の仕上がりも向上します。
健康な歯を削ることに、抵抗を感じる方もいるでしょう。
しかし、インビザライン矯正におけるIPRには、治療効果を高めるメリットがあります。IPRでは、歯の表面のエナメル質を少し削るだけです。そのため、基本的に痛みを感じることはなく、歯の寿命が縮む心配もありません。
歯を削ることに不安や疑問がある場合は、事前に歯科医師に相談して、ご自身に合った治療法を選択しましょう。
インビザラインを検討されている方は、港区芝「赤羽橋駅」より徒歩3分にある菊竹歯科医院にお気軽にご相談ください。